目次
台湾旅行市場の現況
■夏季最大級の「STE台北夏季旅行博」開催 期間中の来場者数は28万5,591人を記録
■ユナイテッド航空が高雄—東京路線を開設 米国籍の航空会社では初の台湾南部進出
■アジア最大級クルーズ「MSC ベリッシマ」が2026年運航計画を発表 沖縄など巡る13本運航
■易飛網旅行社がZIPAIRと連携し、双十節連休に台北―東京チャーター便を運航
■第4四半期の訪日団体料金は5〜10%下落か 価格上昇ピーク過ぎた可能性
■スカイマークが台北―神戸チャーター便を運航 雄獅、旅天下が連休限定ツアーを販売
■桃園空港で熊本県をPRする特別展 ARインタラクティブ体験やくまモンとの交流イベントも
台湾人の出国統計データ
最新プロモーション事例~チャイナエアライン高雄―熊本プロモーション
最新ネットトレンド~個人旅行と団体旅行の話題量を比較・分析!


多くの来場者でにぎわうSTE台北国際夏季旅行博会場

台湾で夏期最大級の「STE台北国際夏季旅行博(サマー・トラベル・エキスポ)」が7月18日から21日の4日間、台北市内の台北世界貿易センター1号館で開催された。今年で10周年を迎えた同旅行博は、今回より初の試みとして「入場券1枚で、期間中は自由に入場可」という方式を導入、期間中の来場者数は延べ28万5,591人を記録する盛況となった。

同旅行博には台湾の31自治体、旅行会社や航空会社を含む民間企業約200社が出展、合計ブース数は約600ブースに達したとのこと。開幕セレモニーでは交通部観光署の黄勢芳副署長、連江県の王忠銘県長、花蓮県の顏新章副県長、台北市の林奕華副市長など、多くの来賓が登壇し祝辞を述べた。

出展した旅行会社によると、今回の旅行博では訪日旅行商品への問合せや予約が目立ち、多くの来場者が各旅行会社のブースを訪問していたという。インターネットで広まった「7月5日の大災難」予言の影響で、一時、業績が落ち込んでいたもの、噂が完全に否定されたことで訪日旅行市場が回復し、8月出発の団体旅行や個人旅行商品の売り上げは非常に良かったとのこと。

STE台北下記旅行博の開幕セレモニーでは多くの来賓が登壇(7toTravel提供)

ユナイテッド航空の高雄—東京路線就航セレモニー(高雄市政府新聞局提供)

ユナイテッド航空の高雄—東京(成田)路線が7月12日に就航し、高雄国際空港では同日、初便就航セレモニーが行われた。式典には高雄市長の陳其邁氏、ユナイテッド航空国際路線営業担当副社長のマセル・フークス氏、米国在台協会高雄支部長のニール・ギブソン氏らが出席した。

同路線にはボーイング737-800型機が投入され、毎日1便運航される。往路は午前10時25分に高雄を出発し、午後3時15分に成田国際空港に到着、復路は午後5時30分に成田空港を出発し、午後9時に高雄へ到着する。台湾南部の市民にとっては、日本や東京への訪問がさらに便利になり、また、東京で乗り継いで米国の主要都市にもアクセスできるため、米国訪問の際の選択肢がさらに増えるかたちだ。


2026年の台湾市場向け運航計画を発表したMSC ベリッシマ(MSCクルーズ提供)

世界第3位のクルーズ企業であるMSCクルーズは7月18日、アジアでのフラッグシップ「MSC ベリッシマ」の2026年台湾市場向け運航計画を発表、同日、春季商品の販売を正式に開始した。同船は2026年3月8日に台湾へ再就航し、3月及び6〜7月にかけて、日本や韓国の人気寄港地を巡る計13本を運航する。

同船は2026年春季に4本の運航を予定、最初の2本は台湾南部の高雄港を母港とし、3月8日から3月17日にかけて沖縄・那覇及び石垣島を巡る4泊5日と5泊6日の航海を提供する。また、3月17日から3月28日までは北部の基隆港を母港として2本を運航し、福岡、佐世保、韓国・釜山などの寄港地を巡る2か国周遊クルーズを展開する。

春季シーズン終了後、同船は6月13日に再び台湾へ戻り、基隆港を母港として9本を運航、沖縄・那覇、佐世保、宮崎、福岡、鹿児島、宮古島、石垣島、そして韓国の釜山、済州など、人気観光地を網羅する航海を予定している。


ZIPAIR(易飛網サイト特設ページより)

易飛網国際旅行社(ezfly)は7月21日、JALグループのLCC新ブランド「ZIPAIR」と連携し、台北(桃園)―東京(成田)チャーター便を運航すると発表した。ZIPAIRにとっては初のチャーター便であり、台湾の建国記念日である双十節(10月10日)の連休に合わせて実施される。往路は10月8日の早朝に桃園空港を出発、復路は10月12日夜に成田空港を出発し、桃園空港に到着する。

同社はこのチャーター企画でフリープランから団体旅行まで多彩な商品を展開し、幅広いニーズに対応するとしている。フリープラン商品では都心に位置するアクセスが便利なホテルに4連泊し、全商品で日本で使用できるSIMカードを提供するとのこと。さらには、行程に応じて東京メトロ24時間乗車券や富士山日帰りツアーなどの特典も贈呈する予定だ。団体ツアー商品では、高い自由度を備えたセミフリープランから、親子旅行や紅葉観賞コースまで、様々なテーマの多彩なパッケージを用意しているとのこと。


桃園国際空港(資料写真/Shutterstock)

中華民国旅行業品質保障協会は7月29日に記者会見を開き、2025年第4四半期(10月〜12月)の訪日団体旅行料金について、昨年同期比で5〜10%下がるとの見通しを示した。円安台湾ドル高の影響や就航地の増加、航空座席数の拡大などを背景に、旅行業界では価格上昇のピークはすでに過ぎたと見られており、今後は為替レートが大きく変動しない限り、団体旅行の価格は横ばい、もしくはやや下落すると予測されている。

同協会によると、日本以外にも米国・カナダ、トルコ、中央アジア、豪州の団体料金が、昨年同期比で5〜10%下落するだろうとのこと。韓国路線は横ばいで、欧州路線はインフレの影響が解消されておらず、交通・宿泊・飲食コストの上昇により10〜12%上昇すると予測している。エジプト、モロッコ、南アフリカなどのアフリカ路線はオンシーズンに入るため、平均で約20%上昇、ニュージーランドも7%上昇するだろうとしている。


スカイマーク(資料写真/Shutterstock)

スカイマークが10月4日から10月10日までの期間に、台北(桃園)—神戸間の国際チャーター便を運航する。同社にとっては、初めての台湾への就航であるとともに、コロナ後初の国際線運航でもある。今回のチャーター便では、ボーイング737-800型機(177席)を投入、期間中は4往復を運航する。

スカイマークの台湾における総代理店は、ライオントラベルグループ傘下の欣聯航國際旅行社(Xin Flight)が務めていることから、同グループに属する雄獅旅行社(ライオントラベル)と旅天下旅行社が、「中秋節(10月6日)・双十節(10月10日)連休限定」と銘打ち、大阪、京都など関西の人気観光地を訪問する団体ツアー商品の販売を開始している。


熊本県の魅力をPRする特別展「探索熊本趣」(桃園機場公司提供)

桃園国際空港が7月26日から12月14日まで、熊本県の魅力をPRする特別展「探索熊本趣」を開催している。展示では大人気キャラクターのくまモンが熊本のグルメや観光スポットを紹介しているほか、期間限定のARインタラクティブ体験やフォトブースなども提供されている。また、8月2日と3日にはくまモンが会場スペースに登場し、ファンとの交流イベントも行われた。

同空港の運営会社によると、姉妹空港との連携や国際交流を深めるため、今回初めて阿蘇くまもと空港及び熊本県と連携し、この特別展が実現したとのこと。同空港の第2ターミナル北側5階で、熊本観光をテーマにした展示を設置したほか、「くまモン部長のオフィス」も再現した。また、台湾の夜市や熊本の定食屋をイメージした美食コーナー、熊本城を再現したフォトスポットなども設置されている。

桃園国際空港は現在16の空港と友好関係を結んでおり、阿蘇くまもと空港とは2024年11月15日に姉妹空港協定を締結した。近年、台湾の半導体関連企業が熊本に進出したことで、両地間のビジネスや観光交流が急増、現在は桃園と熊本間で週12往復の直行便が運航されており、2025年1~5月の往来旅客数は約11万人と、前年同期の約8万人から約4割増加したという。


2025年1~5月
累計出国人数
7,492,590
前年
同期比
+11.8%
2025年5月
出国人数
1,525,029
前月比
 
+3.4%

2025年5月 台湾人出国人数及び成長率(目的地別)

台湾の各空港における国際定期便搭乗率(2025年6月)

就航都市及び航空会社ごとのフライト数、座席数、搭乗人数、搭乗率を一覧表にまとめています。

出典:内政部移民署、交通部観光署統計資料庫
※上記は出国後最初に到着した国・都市。乗り継ぎの場合なども含むため、実際の目的地と異なる場合あり。


1. トップビジュアル及び熊本の特色「水の国・火の国」紹介

画面を左右2分の1ずつに大胆に分割、「水の国」と「火の国」と呼ばれる所以をインパクトあるビジュアルと共に説明。

2. チャイナエアラインの航空券価格及びフライト情報紹介

チャイナエアラインが運航する高雄―熊本路線の航空券価格とフライトの詳細を掲載。

3. 熊本の観光コンテンツ紹介~テーマ別、スポット、美食

「水の国」と「火の国」それぞれのテーマに基づき、おススメの観光スポットを紹介。
「水の国」と「火の国」をアピールしたオンライン広告を展開し、ランディングページに誘導した。
高雄市内を走るライトレール(路面電車)で車両ラッピング広告を展開。
ラッピング車両内には、くまモンのオブジェを配置、乗客の人気を集めた。

車両ラッピング広告は現地で大きな話題となり、多くのメディアに紹介された。


JNTOが発表した2024年の外国人訪日旅行データによると、観光・レジャーを目的とした台湾人訪日客の旅行形態は、「個人旅行(個別手配及び個人旅行向けパッケージ利用の合計)が73.6%、団体旅行が26.3%という結果になった。個人旅行がすでに主流とはいえ、他の訪日成熟市場の国・地域と比べると、団体旅行の比率は高めとなっている。今回のCheeseレポートでは、直近1年間のネット上における話題度を独自に調査し、台湾人消費者の個人旅行と団体旅行に対する興味・関心を比較した。

データ計測は、AIを利用してインターネット上のトレンド・話題度を調査するサービスの「OPView」を使用、インターネットコミュニティ、SNS、Webニュース、ブログなどでの露出量、話題に上った数などを計測した。
計測期間:2024年7月29日~2025年7月29日

話題量全体の8割が個人旅行に関連
OPViewの計測によると、個人旅行の累計話題量は465,450件で、全体の79.8%を占めており、一方、団体旅行は117,484件で20.2%を占める結果となった。このことから、現状においてネット上での旅行に関する議論の多くが、個人旅行にやや偏っていることがわかる。団体旅行も一定の関心を集めてはいるものの、相対的に注目度は低い。


個人旅行、団体旅行共に、話題の発信や議論はソーシャルサイトに集中
個人旅行の話題量は主にソーシャルサイト(87.6%)に集中しており、次いでニュース(6.0%)、フォーラム(3.4%)、ブログ(3.0%)という構成になっている。中でも、2024年12月に台湾のYouTuber「見習網美小呉」が公開した福岡個人旅行の動画が大きな反響を呼んだほか、Facebookファンページの「GoTrip旅遊看世界」が投稿した福岡旅行攻略の内容も、多くのネットユーザーの関心を集めた。

一方、団体旅行の話題量もソーシャルサイト(92.1%)に集中しており、ニュース(6.5%)がそれに続くかたちで、ブログとフォーラムは共に1%に満たないという結果になった。ちなみにFacebookの公開グループ「旅遊賠省團」では、多くのユーザーが各地の団体ツアーについて投稿・議論をしているようだ。

以上の分析から、個人旅行、団体旅行問わず、ソーシャルサイトが主要な議論の場となっていることがわかる。個人旅行が話題に上っているプラットフォームは団体旅行と比べてやや多様で、ブログやフォーラムの比率もやや高く、旅程の共有、旅行記の執筆、交流への参加などを好む傾向が見られる。


団体旅行は話題の件数こそ少ないが、ポジティブな内容が多め
個人旅行に関するポジティブな話題の件数は133,735件で、ネガティブな内容の件数33,393件を大きく上回り、ポジティブとネガティブの比率は4対1となっている。つまり、ネガティブな意見1件に対してポジティブな意見が4件ある計算で、全体として個人旅行をポジティブにとらえている様子がうかがえる。

一方、団体旅行はポジティブな内容の件数が16,931件に対し、ネガティブな内容の件数は2,347件で、ポジティブとネガティブの比率は7.21対1となった。この数値は個人旅行よりも高く、団体旅行に対するネット上での評価は、話題の件数こそ少ないものの、ポジティブな内容が非常に多いことを示している。

総じて、個人旅行は話題性と注目度において圧倒的に優位であると言えるが、その分、ネガティブな意見も相対的に多くみられる。これは個人旅行では、個人の体験内容のばらつきが大きくなっていることも影響しているとみられる。団体旅行は話題の総量は少ないものの、評価の大半がポジティブで、体験の質が安定しており、トラブルも少ないようだ。サービスの標準化により一定のクオリティを保っていること、また、旅行中のサポート体制も整っていることから、不満につながる確率が低いと予想される。


女性からの関心が高い個人旅行、団体旅行は男女がほぼ均衡
個人旅行に関する話題の発信者及び議論などへの参加者を性別比でみると、女性61%、男性39%という結果になり、個人旅行は女性層をより多く惹きつけていることがわかる。女性の方が旅行の計画や内容、行程といった詳細を、男性よりも積極的にシェアする傾向があるからかもしれない。また、話題に付随する関心タグからも、「メイクアップ / スキンケア」、「動画制作」、「料理 / クッキング」、「ペット」など、個人の趣味やライフスタイルを重視した内容が多くみられる。

一方、団体旅行の話題では、女性54%、男性46%という結果で、個人旅行よりも性別の偏りが少なく、男性からの関心、話題への参加も多く見て取れる。関心タグを見ても、「金融 / 投資管理」、「親子 / 教育」、「社会貢献」といった家庭や社会的なテーマも含まれており、関心を持つ領域が広範囲に渡っていることがわかる。


【個人旅行】
頻出ワード:観光スポット、行程、攻略
「観光スポット(景點)」、「行程」、「攻略」は、ワードクラウドの中で最も目立つキーワードであり、旅の計画や観光地選定への関心が高いことを示している。これは団体旅行と違い、自ら旅の内容を計画する必要があるためとみられる。

人気の目的地は、東京、大阪、京都、札幌、福岡、沖縄など
東京を筆頭に、日本の地名が多く登場しており、日本は依然として人気の渡航先であることがうかがえる。その他、韓国、ソウル、タイ、シンガポール、香港といったアジアの国・都市なども登場。

交通手段、予約サイトなど、実用的なキーワードが頻繁に登場
「交通」、「宿泊(住宿)」、「地下鉄(地鐵)」、「レンタカー(租車)」、「入場券(門票)」、「車の運転(自駕)」など、実用的なキーワードが多く登場、中でも現地での交通手段についての関心が高いようだ。また、Klook、KKday、Agodaなども頻繁に登場しており、こうした予約サイトが個人旅行において重要な役割を果たしていることがわかる。

現地の文化、癒しなどへの関心が高い傾向
その他、「美食」、「温泉」、「ドラッグストア」、「(現地の)特色」といったキーワードからは、個人旅行では現地の文化や特色、癒しなどを重視していることがわかる。単なる観光地巡りに留まらず、「その土地ならではの魅力」を体感することが大切な価値になっていると推測される。

【団体旅行】
頻出ワード:行程、旅行会社、旅行者、観光スポット、団体旅行
ワードクラウドで大きく表示されている「行程」、「旅行会社(旅行社)」、「観光スポット(景點)」といったキーワードからは、団体旅行の利用客は旅の行程やサービスについての関心が高く、それらを提供する旅行会社についての議論も活発に行われていることがわかる。

日本のほか、渡航が便利で言葉が通じやすい近隣の目的地が人気
団体旅行の話題では、韓国、ソウル、東京、大阪、沖縄、福建、ベトナム、北海道、タイ、上海、シンガポールなど、日本以外の東アジアや東南アジアの国・都市も多く登場しており、距離的に近く渡航に便利で、言語面でのハードルも比較的低い目的地が好まれているようだ。また、日本へは個人旅行で行けるので、団体旅行では別の目的地を選ぶ傾向もあるとも推測される。

団体商品の価格とサービスに強い関心
「定価(原價)」、「割引(折扣)」、「消費」、「日程(日期)」、「ツアー代金(團費)」、「五つ星(五星)」、「最低料金」などのキーワードからは、団体旅行を選ぶ際、料金の明確さや宿泊施設の品質などを重視していることが読み取れる。特に、コストパフォーマンスの高さを求める傾向が顕著だ。

子供連れやシニア層の参加者が多い団体旅行
「親子」、「コロナ(疫情)」といったキーワードからは、団体旅行の利用者は子供連れでの参加、または安全・安心を重視する高齢者層が多く含まれていることを示唆している。また、「深さ(深度)」、「特色」、「魅力」、「テーマ(主題)」などのキーワードからは、現地の文化や体験に対する高い関心がうかがえる。

發表留言